台湾ロープレスキュー教育課程の3日目は、GRIMP JAPANによる日本のロープレスキューの歩みの共有からスタートしました。ロープレスキューが日本国内に普及し始めた背景やその転機、そして現在の技術水準を伝えるとともに、受け止め方や捉え方の重要性が強調されました。この共有は、台湾の学生たちにとっても新たな視点をもたらした時間となりました。
午前:フレームの基本を学ぶ
資器材の紹介と取り扱い
新しい資器材として、支点のない場所に支点を構築する器材が紹介されました。最新の資器材情報を提供することで、現場での選択肢を広げるだけでなく、それを活用するか否かを各職場で判断する材料としてもらう目的がありました。
フレーム(AZV)の組み立て訓練
ヘッド、レッグ、ピン、フット、ストラップといった各部品の性能や取り付け方法を詳細に説明。その後、学生たちはグループに分かれてフレームの組み立てを実施しました。
ロープを通し、実際に力の掛かり方を確認する過程では、物理的な理解が深まるだけでなく、フレームが救助活動にどのように役立つかを実感していました。
こうしたフレームの取り扱い訓練をカリキュラムに加えることで、Level 1からの段階的なステップアップが可能になり、教育プログラムの構築として非常に参考になるものでした。
午後:RC構造の屋上での実践訓練
ロープウィンチとフレームの活用
午後はRC構造の建物屋上に移動し、ロープウィンチの取り扱い説明と展示が行われました。台湾ではまだ普及していないものの、柔軟に新しい資器材を受け入れる姿勢が印象的でした。
その後、4つの小隊に分かれてフレームを用いたハイアングルの上げ下げ訓練を実施。
学生たちは、午前中の座学で学んだ組み立て方や力の方向を確認しながら、低所にいる要救助者を担架に収容し屋上まで引き上げる訓練に取り組みました。
総合想定訓練
本日の締めくくりとして、フレームを活用した総合想定訓練が行われました。RC構造の建物屋上から要救助者を引き上げ、その後反対側の斜面に降ろすという内容で、2日目の夜間想定に似た場面設定でした。
斜面に降ろす際にはフレームを用いることが条件とされ、学生たちはゼロエッジ(高取り支点がない状況)でも水平に担架をクリアする技術を発揮しました。
日本国内ではロープアクセス技術の普及によりフレームの需要が減少していると感じる一方、台湾ではフレームを用いた力学や正確な設置方法が広く教育されており、安全な救助技術の向上に繋がると考えられました。
教育のアプローチと学び
フレームに焦点を当てた教育
本日は終始、フレームの構造理解から組み立て、応用までを徹底的に学ぶ時間となりました。座学で理論を学び、実技で応用する流れは非常に効果的であり、日本でもこのような段階的な教育プログラムが参考になると感じました。
「活動は安全であれば続行できる」
台湾の教育では、安全が確保されている限り学生たちの創意工夫を尊重し、活動を続行させるスタイルが採用されています。この柔軟な捉え方は、現場対応力を高める上で重要であり、日本の教育にも取り入れるべき点が多くありました。
次なる挑戦に向けて
明日は校外での訓練が予定されており、さらに実践的な環境での活動が期待されます。本日学んだフレーム技術がどのように応用されるのか、実際の現場を想定した訓練に挑む学生たちの姿が楽しみです。
引き続き安全に、そして実りある学びを得られることを願っています 🎈
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