台湾ロープレスキュー教育課程 Level 2 Day 5 総括

台湾のロープレスキュー教育課程 Level 2は、5日間にわたる集中研修の最終日を迎えました。この日は、これまでの4日間で学んだ知識と技術の成果を総合的に確認し、学生たちの成長を評価する1日となりました。

厳しい基準のもとでの試験

台湾では、ロープレスキューをはじめとするさまざまな専門分野の教育課程が1週間程度で実施され、それぞれの資格取得が消防士のキャリア形成や昇任にも直結しています。今回の課程も例外ではなく、試験の平均点が基準点(70点)に満たない場合、修了証が発行されないという厳格な基準のもとで行われました。

試験内容と学び

1. 上げ下げシステム:ノット通過試験
ノットが途中にあるロープを上下に操作する試験。資器材は事前に設定されたものと最低限のロープアクセス用PPEのみが使用可能で、10分以内に終了するという制約がありました。この試験では、緊張感の中で時間内に終了できなかった学生も見られましたが、「実現場さながらの緊張感と大きなミスが許されない」という教訓が得られるものでした。
2. スナッチ(ピックオフ)レスキュー
宙吊り状態の要救助者をDCD(下降器)を用いて自身の下降器に取り込み救助する試験。最低限のアクセスPPEのみを使用する条件で行われ、資器材を効率的に運用する考え方が示されました。
この試験では、個人スキルの確実な向上がチームレスキュー全体の質を大きく向上させるという点が改めて確認されました。
3. ペーパーテスト
ロープレスキューには技術だけでなく、知識が不可欠です。「Why to(なぜそのような活動をするのか)」を重視する台湾の教育スタイルは、技術と根拠を結び付けた活動を促進するもので、日本にとっても参考になる姿勢でした。
4. チームレスキュー試験
7階建て建物の屋上から階下への降下を含む、リアルな環境での救助活動を実施。経験の少ない学生が慎重に行動する場面も見られましたが、訓練の重要性が再認識されました。最終的には、学生たちは共通の認識と安全な技術をもって救助を完遂しました。

台湾と日本、それぞれの課題と未来

5日間の研修を通じて、台湾のロープレスキューの標準化が進んでいることを実感しました。同時に、日本が抱える課題も明確になりました。これは台湾が優れている、日本が劣っているという話ではなく、世界の実情を知り客観的に評価することで多くの課題が浮き彫りになるからです。

日々アップデートされる世界の消防技術

世界の消防は日々進化を続けています。私たち日本も、次のステージに進む時が来ています。今回の経験を日本に共有し、台湾消防と共にアジア全体の消防技術を高めていくという新たな決意を胸に、この交流事業を終えたいと思います。

最後に、私たちを温かく受け入れ、手厚い歓迎をしてくださった台湾内政部消防署と台湾の消防ファミリーに深く感謝申し上げます。

辛苦了! 🎈

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