台湾でのロープレスキュー教育も残すところあと1日。最終試験を控えた本日は、実質的な学習の最終日となり、座学・実技・想定訓練を通じて、幅広く深い学びを得る充実した一日となりました。
午前:梯子とシステムの学び
梯子を用いた救助技術
日本でも馴染み深い単梯子、二連梯子、三連梯子を用いた救助技術が紹介されました。台湾では、ロープレスキュー教育課程に梯子救助が組み込まれており、システムの設定方法や力の掛かり方なども含めて丁寧に説明されていました。
特に印象的だったのは、ラダージン(梯子クレーンに近いシステム)の活用です。アンカーとして車両を使い、30m下にいる要救助者を引き上げるデモンストレーションでは、安定感のある固定方法が紹介され、実技を通じてその有効性が学ばれました。
また、台湾の消防では近年、NFPA規格のアルミ梯子が採用され始めており、海外からの技術や資器材を柔軟に取り入れている教育の進化を感じました。
検証による理解の深まり
さらに、イングリッシュリーブダブルアサップのシステムで、カット時の動作や安全性を実証。例えば、タグラインが弛んでいる場合にカットされると、ダブルアサップでも大きく落下してしまうことが実演され、学生たちはその重要性を一目で理解していました。続けて、FUSE(エーデルリッド)を使用した場合の安全性検証も行われ、知識に基づく安全な活動の重要性を実感する内容でした。
意見交換会
午前中の締めくくりとして、学校長、副校長、台湾の講師、学生、そして私たちとの意見交換会が行われました。学校長は、**「海外との交流を通じて技術をアップデートし続ける重要性」**を強調し、講師や参加者全員を激励。私たちも感謝の意を述べ、今回の経験を日本に共有し、アジア全体の救助技術向上に繋げる決意を新たにしました。
午後:校外での想定訓練
1つ目の想定訓練:高低差20mの用水路救助
用水路に転落した要救助者を引き上げるシナリオ。車両のタイヤをアンカーとして使用し、ロープアクセス技術を駆使して隊員が要救助者に早期接触。段々状の法面に複数のエッジ処理が必要でしたが、学生たちは教育課程で学んだ内容を活かして全てのエッジを保護し、要救助者のケアを継続しながら救助を完了させました。
2つ目の想定訓練:ハイライン救助
幅30mの用水路にロープを渡し、トライポッドやイーゼルAフレームを用いたハイラインを構築。学生たちは現場の状況に応じて資器材を適切に運用し、リアルな環境での救助活動を成功させました。
実現場を想定した訓練
事故は訓練塔では起きない。この校外訓練では、自分たちの都合に合わない条件の中で活動することの重要性を再認識しました。異なる技術レベルの学生が混成チームで活動しても、ロープレスキューが標準化されつつあるため、共通の認識でスムーズに活動できることが確認されました。
夜間の座学と資器材点検テスト
夕食後には、資器材の規格や性能、構造の理解を深める座学が行われました。その後、20個の資器材を点検し、安全性を確認するテストが実施され、学生たちは1分以内に各資器材を判断する訓練に取り組みました。
このプロセスを通じて、資器材の点検や整備の重要性を改めて認識し、自分たちの資器材に精通する必要性を深く感じました。
次なるステージへの課題と希望
台湾でのロープレスキュー教育は、標準化と現場主義が徹底されています。今回の研修を通じて、日本が抱える課題を客観的に捉え、学びを共有していくことの重要性を実感しました。
「事故現場での活動に違いはない」
日本でも共通した基準と認識を築き、より安全、確実、迅速な救助活動への進化を続ける必要があります。
台湾の教育現場から多くを学び取った私たちは、最後まで全力で取り組み、得た経験を日本に共有し、さらなる技術向上に繋げていきます。
最後まで頑張りましょう! 🎈
コメント