ROPES Level 2カリキュラム内容

Level2-2日間コース

座学 ROPES Level2の概要
PPE・チーム装備 Level1で使用した資機材の再確認
ロープアクセス ノットパス、ピックオフレスキュー
支点座学 支点構築における理論
ノンテンションラインレスキュー クロスホール、ディフレクション

タグライン、ガイディングライン

支点実技 ヒューマンアンカー理論
テンションラインレスキュー イングリッシュリービング、ノルウェーリービング

トラッキングライン

想定訓練 テンションラインなどを使用した想定訓練
効果確認 事前配布50問のうち20問の効果確認

 座学(コース概要)


ROPES Level2は、Level1で習得した基礎的な消防ロープレスキュー・アクセス技術を基盤とし、より高度で複雑な現場環境に対応するための実践的・応用的な技術と理論を習得するアドバンスコースです。

本コースでは、ロープアクセス(ノットパスやピックオフレスキュー)をはじめ、障害物回避や横移動を可能にする「ノンテンションライン(Vレスキュー)」、広範囲・長距離の移動を構築する「テンションライン(Tレスキュー)」、さらに有効な支点がない環境での「ヒューマンアンカー(人的支点)」や支点構築・安全係数に関する深い理論までを体系的に網羅します。

 PPE・チーム装備の点検確認


ROPES Level2の技術運用に入るにあたり、まず徹底するのが個人の保護具(PPE)およびチーム資機材の確実な点検・管理です。安全な活動の絶対的な基盤として、以下の手順と確認項目を厳守します。

Level1で確認した内容を復習し、2日間小隊で管理する装備を確認します。

受講生は21組(バディ)となり、お互いの装備状態を声出しと手で触れて確認する相互点検を実施します。

  • フルハーネスの着装
  • カウズテールの確認
  • フットテープの調整
  • 下降器(I’D等)のセット向き
  • 不要装備の排除

チーム装備の点検・セットアップ


チーム資機材の点検・確認とパッキングを行います。Level2ではLevel1の装備と比べて大きな変更点はありませんが、Level2から使用する資機材があるため、それらの資機材の展示・説明を行います。

  • 担架(ストレッチャー)の確認
  • プーリー、カラビナ、高効率下降器の確認
  • ロープ点検
  • スローライン整理

ロープアクセス技術ノットパスとピックオフレスキュー


ロープ上でのトラブル対応および救出技術の核となる「ノットパス(結び目通過)」と「ピックオフレスキュー」を修得します。

ノットパス

ロープの損傷箇所を避けるための結び目や、ロープの結合によって発生したノットを、メインライン・ビレイライン双方で安全に通過する技術です。ロープの途中にノットが発生する想定(結び・損傷回避)であり、ノットにランヤードを直接かけて1系統化するような簡易的な方法は想定していません。

ピックオフレスキュー

あらゆるロープの長さに対応するため、要救助者をメインライン/ビレイラインから確実に引き外し、自身のシステムへチェンジオーバー(移行)させる手法をメインとして指導します。

支点理論と安全係数の考え方


現場で構築するアンカーシステムは、どのような荷重が加わっても絶対に破壊されない信頼性が求められます。GRIMP JAPANでは国内外の規格・法規に基づき、実践的根拠に基づいた明確な強度基準を定義しています。

現場で運用するアンカー(支点)にはさまざまなものがあります。施工基準に基づいて設置された堅牢な構造物がある一方で、どの程度の強度が担保されているか判断が難しい構造物や自然物も存在します。

消防ロープレスキューにおいて使用可能なアンカーを「どのように評価し、どのように位置づけるか」という正しい考え方を理解しておくことは、安全で確実な現場活動に直結します。

ノンテンションラインシステム


ハイラインのようにロープを高張力で張り込まず、テンションをかけない(または極小にする)ことで支点負荷を低減しながら横方向・斜め方向へ荷や要救助者を移動させるシステムです。

  • クロスホール(Cross Haul / Two-Rope Offset System)
  • ディフレクションライン(Deflection Line / Deviation)
  • タグライン(Tag Line)
  • ガイディングライン(Guiding Line)

各システムにおいて「どのように力が作用しているか」を可視化し、単に操作手順(手法)を覚えるだけにとどまらず、「なぜそうなるのか」という論理的背景を理解します。 状況に応じた安全・確実な運用方法を学ぶことで、多様化する現場に最適なシステムを選択・構築できる応用力を身につけていきます。

人的支点:ヒューマンアンカー


レスキューの原則は「固定された構造物・支持物に絶対的な支点を構築すること」ですが、マンション・ビルの平坦な屋上や大規模災害現場など、適切な支持物が存在しない・強度が不足している場面も存在します。このような極限状態で、安全性を最低限担保した上で人間が支点となる手法が「ヒューマンアンカー」です。

従来の単なる身体確保とは異なり、「確保力の限界」および「ホイッスルとハサミの原則(意識が失消し、手を離しても途中でシステムが止まる構造)」をクリアするための4つの評価基準に基づき判断・構築します。

テンションラインシステム / Tレスキュー


2点間に展張(張り込み)した高張力ロープ(ハイライン)上に荷重を吊り下げ、縦横に移動を行うシステムです。

テンションラインの基本構成について説明・展示を行います。

荷重移動中もハイラインにかかる負担の変動が小さく、安定性と安全性が高いため、GRIMP JAPANではリービングハイラインシステムを推奨・採用しています。

推奨する3つのリービングシステムを組み立て、それぞれのメリット・デメリットを説明し、目に見えない力の作用を知ることで、安全なシステム運用へとつなげます。

  • ツインテンション・イングリッシュ・リービングラインシステム
  • イングリッシュ・リービングラインシステム
  • ノルウェー・リービングラインシステム

リービングシステムのバックアップ手法


単線(1本)のリービングラインを使用する「イングリッシュ」および「ノルウェー」システムでは、リービングライン破断に備えるバックアップ設定が不可欠です。GRIMP JAPANでは以下の2手法を推奨しています。

  1. ライフラインシステム
  2. ダブルASAPシステム

これらのバックアップシステムが実際に機能するものなのかを検証します。

運用していく中で注意しなければならない点をしっかりと理解し、正しい知識を習得して安全なシステム運用につなげていきます。

展張張力の計算と初期張力管理


テンションライン展張において最も避けるべき危険は、過度な張り込みによる支点崩壊やロープの破断です。

現在、ロープを展張するために用いられているCLUTCHI’Dといった最新デバイスの作動特性に合わせた展張方法とその考え方をお伝えします。

また、緊迫する現場で角度を計測するような運用は現実的ではありません。

GRIMP JAPANでは、最新の国際データや器具特性を分析・検証し、「初期張力」と「荷重」から安全な運用に繋がる考え方をお伝えしていきます。

使用する資機材の性能を活かしつつ、安全に緩和(リリース)できる「初期張力の限界」とはどこか。

ROPES講習では、「壊さない・破断させない展張力の管理」の明確な基準と根拠を示します。

ラインクロス:ロープの受け渡し技術


対岸や障害物の向こう側へ、最初の軽量ロープ(パイロットライン)やメインロープを渡す「ラインクロス」は、ハイラインシステムの構築において、全体の効率と安全性を左右する重要な工程です。

  • 手投げによる方法(上投げ・下投げ)
  • 資機材を使用する方法(ビッグショット、レスキューショット等)

受け渡し本数と原則


  • 「1本ずつ」の受け渡し
  • 複数本の同時送り

シチュエーションに応じて、様々なラインクロスの手順がありますが、その中でも即座に現場で運用できる確実でシンプルなラインクロス方法を展示・説明します。

想定訓練


これまでのスキルステーションで学んだ知識と技術を基に、各小隊に分かれて想定訓練を実施します。

訓練は、出動から救出完了報告までの一連の流れを実践的に行うことで、よりリアルに現場活動を意識するようにし、現場対応能力の向上を目指します。想定訓練終了後には、各チームで振り返りの時間を設け、担当スタッフからの講評を受けることで、課題の共有と技術のさらなる向上につなげます。

効果確認


事前に配布した50問の問題の中から20問を抜粋し、受講生に解答してもらいます。ROPESでは、技術だけでなく知識も重要であると考えており、「知識と技術は表裏一体である」という理念のもとで活動を行っています。後日、全問題の解答および考察を作成し、受講生に共有します。これにより、すべてを現場で体験するのではなく、知識として蓄積し、経験値として持ち帰ってもらうことを目指しています。